いまさら翼と言われても

米澤穂信さんの本『いまさら翼と言われても』読みました~。

面白かった~。 久しぶりの古典部で、テンション上がる私。

主人公である奉太郎がなぜ省エネ主義になったのか、がわかりましたね。ネタバレになるかもしれないんですが、省エネ主義になる理由とか、まやかの退部理由とか。えるのこれからとか。

何だか、青春してんなって感じました。あと、頭良いな、皆って。短編集なので、それぞれの主観というか、まやかからみた古典部のみんな、とかがわかって楽しい。まやか、本当に里志のことが好きだなーって思うところがまやか視点の文章に散りばめられていてうわーって私はなりました(笑)恋する乙女だ。全体的にまやか視点の作品が多いなと、感じたのですが、本当に「正しい子」って感じがするな、と。間違えてたなら謝る、約束は守る、筋は通す、みたいな。「正しい子」というか「自分が正しいと思う考え方をする子」だな、と思いました。それは、奉太郎に対する認識とか、漫研の自分の立ち位置とか。

もともと奉太郎に『クドリャフカの順番』で、タロットカードで言えば「正義」と言われていたまやかです。この『いまさら翼と言われても』でもその期待?を裏切らない正しさぶりでした。ここで、私がかきたいのはえるです。今までのストーリー通して、あまり身近に感じていなかったのはえるでした。奉太郎も悟志もまやかも、その感情や感覚をわりと身近に感じられていたのですが、えるだけが遠い存在に思えていたので、今回の

<いまさら翼と言われても、困るんです>

あたりの言葉に人間味や身近さをやっと感じられました。ずっと決められた道を歩いていたのに、急にどこへでもいって良いといわれた時の不安感。どうしよう、どうすれば、翼何かもらってもどう使えば、どこへ飛べばよいのか。そんな感じじゃないかと思います。

全体を通してやっぱり古典部はほろ苦いミステリーでした。これから、彼ら彼女らがどういう大人になっていくか私はずっと楽しみです。